現代社会では、インターネットや企業内ネットワークが常に稼働し続けることが当たり前になっています。
その裏側で通信を支えているのがネットワークエンジニアです。
ネットワークエンジニアの仕事は単にLANケーブルを接続することではなく、クライアントとサーバ、拠点間を効率的につなぐ仕組みを考え、設計構築し運用することにあります。
ネ/ットワークエンジニアの役割とは

ネットワークエンジニアは、企業や組織のコンピュータネットワークを構築・運用する技術者です。
ネットワークとは複数の機器を接続してデータを交換する仕組み全体を指します。
国際標準機構のOSI参照モデルでは、通信機能を物理層からアプリケーション層まで7層に分けて説明しています。
ネットワークエンジニアはこの階層モデルに基づき、下位層のケーブルやスイッチ、ルータ選定から、上位層のIPアドレス設計やプロトコル設定までを担います。
特にルータは複数のIPネットワークを接続しパケットを適切な経路へ転送する装置で、スイッチは受信したフレームの宛先MACアドレスを基に適切なポートへ転送するデータリンク層の機器です。
企画・要件定義と設計

プロジェクトが始まると、まず顧客や社内部門から求められる要件を整理し、どのようなネットワークを構築するべきか企画します。
用途や規模に応じて、必要な帯域や冗長構成、セキュリティ対策を検討します。
そのうえで設計フェーズでは、論理設計と物理設計に分けて構成を考えます。
論理設計ではIPアドレスの割り当てやサブネットマスクの計画を策定し、ネットワーク層のルーティングプロトコルやアクセス制御リスト(ACL)の設定方針を決めます。
物理設計では拠点間を結ぶ回線の種類、ルータやスイッチの機種、ケーブル敷設などを検討します。
こうした基礎知識は、要件定義や設計段階で欠かせません。
構築とテスト

設計が確定すると、実際に機器の配置や配線、設定を行います。
ルータやスイッチの設定では、VLANの構成やルーティングプロトコルの有効化、IPアドレスの設定、DNSやDHCPサーバの構築など多岐にわたります。
ネットワーク層ではインターネットプロトコル(IP)やトランスポート層のTCP/UDPといったプロトコルが動作しており、これらの相互動作を理解することも重要です。
構築後は接続試験や負荷試験を実施し、冗長系へのフェイルオーバーや障害時の挙動を確認します。
試験の結果をもとに設定値や構成を調整し、本番環境へリリースします。
運用・保守とトラブルシューティング

ネットワークは一度構築すれば終わりではありません。
常に稼働させ、障害を未然に防ぐ運用・保守フェーズが最も長く続きます。
ネットワークエンジニアは監視システムを使って帯域使用率や機器の状態をモニタリングし、異常があれば迅速に対応します。
また、トラブル発生時には「どの層で問題が起きているか」を切り分けて原因を特定します。
例えば、物理層であればケーブル断線の可能性、データリンク層であればMACアドレス学習テーブルの問題、ネットワーク層であればルーティング設定の誤りなど、OSI参照モデルを活用して調査します。
ソフトウェアの更新やセキュリティパッチ適用も重要な保守業務です。
近年はクラウド環境への移行も進んでおり、クラウド関連の仕組みも理解しておく必要があります。
必要なスキルと資格

ネットワークエンジニアに求められるスキルは広範囲に及びます。
技術面ではOSI参照モデルやTCP/IPモデルに関する理解、IPアドレス計画、ルーティングプロトコル、スイッチング技術、無線LAN、VPN、ファイアウォール、ロードバランサなど幅広い知識が必要です。
また、セキュリティの観点から暗号化や認証、アクセス制御の基礎も学ぶ必要があります。
これらの知識を体系的に学ぶ手段として、資格試験の活用が効果的です。
シスコシステムズのCCNAはルーティングやスイッチング、IPサービスなどネットワークの基礎を総合的に問う試験で、実務未経験者が学習の足掛かりにするのに適しています。
ベンダー中立のCompTIA Network+や、日本の情報処理技術者試験のネットワークスペシャリスト試験なども基礎力の確認に役立ちます。
資格取得は知識の整理だけでなく、転職時のアピール材料にもなります。
ちなみに自分の資格取得実績としては、CCNAを取得によりネットワークエンジニアの職を得て、ネットワークスペシャリスト試験を取得し、設計構築のプロとして活躍できました。
将来性とキャリアパス

ネットワークエンジニアの需要は今後も高いと予想されています。
クラウドサービスの普及により、企業はオンプレミスだけでなくAWSやAzureなどのクラウド環境とオンプレ環境を組み合わせたハイブリッドネットワークを構築しています。
また、テレワークの普及に伴いVPNやゼロトラストネットワークの導入が進み、IoT機器の増加でトラフィック量は増加の一途をたどっています。
これらの新しい技術を取り込んで安定した通信を提供するためには、高度な知識と運用経験を持つネットワークエンジニアが欠かせません。
キャリアパスとしては、運用・保守からスタートして設計・構築へステップアップし、その後はネットワークアーキテクトやプロジェクトマネージャ、セキュリティエンジニアなどへの道も広がります。
近年は自動化ツールやInfrastructure as Code(IaC)の活用が広がっており、PythonやAnsibleなどプログラミング・自動化の技術も学ぶことで市場価値を高めることができます。
ちなみに自分のキャリアパスとしては、運用・保守からスタートして、設計・構築へステップアップし、現在はアーキテクトやプロジェクトマネージャ、セキュリティ領域のコンサルティングへとステップアップしています。
まとめ
ネットワークエンジニアは、現代の通信インフラを支える重要な職種であり、設計・構築から運用・保守まで幅広い業務を担当します。
OSI参照モデルやネットワーク機器、プロトコルに関する知識を土台に、日々進化するクラウドやセキュリティ技術にも対応する柔軟性が求められます。
資格取得は体系的な学習の指針となり、キャリアアップの助けにもなります。将来性の高い職種であるからこそ、早い段階で基礎を身に付け、実践経験を積むことが成功への近道です。
本ブログでは、ネットワーク技術や資格学習、転職に関する具体的な情報を順次提供していきたいと考えていますので、次回の記事もぜひご覧ください。

コメント
コメント一覧 (1件)
初投稿してみました。
これまでのエンジニア人生で少し時間的に余裕が出てきたので、これまでの経験や学びを少しずつ発信できればいいかなと思っています。
どうぞよろしくお願いします。